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徳川（三河）

とくがわ【大名】


[徳川（三河）]
【出身地】上野国新田郡得川郷（現・群馬県太田市徳川町）と伝わる。
【本拠地】江戸、三河、尾張、紀州、水戸（現・東京、愛知、三重南部、和歌山、茨城県）
【家祖】松平親氏…一族新田義重の末子・義季から徳川氏を称し、更に裔孫・親氏が遊行僧となって徳阿弥と名乗るが松平太郎佐衛門信重の娘婿となったことで松平氏の初代となったと伝わり、更に家康が1566年に奏請して徳川に改称したことに始まるとされる。
【支流・分家】御三家（尾張家・紀州家・水戸家）…家康の９男・義直に始まる尾張徳川家、家康の10男・頼宣に始まる紀州徳川家、家康の11男・頼房に始まる水戸徳川家の三家を指し、徳川将軍家（宗家）に次ぐ地位にあった。御三卿（田安家・一橋家・清水家）…８代将軍・吉宗の次男・宗武に始まる田安徳川家、８代将軍・吉宗の四男・宗尹に始まる一橋徳川家、９代将軍・家重の次男・重好に始まる清水徳川家の三家を指し、徳川宗家から江戸時代中期に分立し、実質何もすることがない為に将軍の後継等の政争が激化したとみられている。徳川慶喜家…最後の将軍である15代将軍・慶喜が明治維新の後、宗家（将軍家）から別家として爵位を受けたことに始まる。
【本姓】清和源氏新田氏流松平氏、新田氏系得川氏の末裔とされるが信憑性が問われている。
【著名人】徳川家康…江戸幕府を開いた江戸幕府初代将軍。豊臣秀吉の死後に起きた関ヶ原の戦い（1600年）に勝ち、天下支配の実権を握る。徳川家光…江戸幕府第３代将軍で、諸法度の制定・参勤交代など諸制度を整備し、幕藩体制を完成させた。徳川吉宗…江戸幕府第８代将軍で、享保の改革を実行し、米相場を中心に改革したので米将軍と呼ばれた。財政の復興などをした江戸幕府中興の祖とされる。
【略歴】異流の徳川氏も各地に散在。徳川宗家（将軍家）は三河国松平郷を本拠とする戦国大名・松平氏であったが、家康が1566年に奏請して徳川に改称し創始された。1603年の幕府創立以降、家康・秀忠・家光・家綱・綱吉・家宣・家継・吉宗・家重・家治・家斉・家慶・家定・家茂を経て1867年慶喜の大政奉還に至るまで265年間に１５代の将軍職を世襲した。徳川家初代・家康は三河岡崎城主・松平広忠の長男であったが、今川氏養子として過ごし、織田信長・豊臣秀吉らの天下取りの後を継いで天下統一事業を成し遂げ、江戸幕府を開く。２代・秀忠は家康の長子ではなかったが、その人柄と機会に恵まれ将軍職を継ぎ、大御所・家康と連携して江戸幕府の基礎固めに力を注いだという。３代・家光は秀忠の次男であったが、乳母・春日局の働きかけもあり将軍職を継承、大御所・秀忠の死後は鎖国体制の完成・諸法度の制定・参勤交代など諸制度を整備し、幕藩体制を完成させた。４代・家綱は家光の長男で、武力に頼った武断政治から、文治政治へと転換させ、3代将軍・家光の４男、５代・綱吉は学問好きで儒学が隆盛し、治世前半は天和の治と称され、後半は生類憐れみの令を始めとする悪政で有名となった。６代・家宣は甲府藩主・綱重の長男であったが、宗家に世継ぎが無かったため将軍職を継承、生類憐れみの令や酒税を廃止して新井白石を登用、正徳の治を行い、庶民の人気は高かったという。７代・家継は６代将軍・家宣の４男で、新井白石らと共に正徳の治を継承、8代は初の御三家出身の将軍・吉宗が迎えられ、藩主時代の藩政を幕政に反映し、正徳の治を改めた幕政改革を実施、公事方御定書の制定など享保の改革と呼ばれる善政を行った。吉宗の長男・家重が９代将軍となり、大岡忠光・田沼意次らを登用、大御所・吉宗を継いだ幕政を行ったが、虚弱の上に脳性麻痺？による言語不明瞭があった。家重の長男・家治は聡明で知られ、１０代将軍を継承して田沼意次を側用人・老中に置いて自らは幕政を執らなかったという。１１代・家斉は宗家の世継不在のため御三卿の一橋家の出ながら若年より将軍職を継承、田沼意次を罷免して松平定信を老中にして寛政の改革を行ったが、水野忠成が老中を継いだ後は幕府財政の破綻・幕政の腐敗が起きたという。１２代・家慶は１１代将軍・家斉の次男で、老中首座・水野忠邦を重用し天保の改革を行い、また言論統制として蛮社の獄を行うなど幕政に積極的であったが、この頃黒船が来航するなど開国に向けて幕府が揺れる時期に入る。１３代・家定は１２代将軍・家慶の４男、黒船来航に継いで日米和親条約に調印、病弱であったため将軍継承後は体調が悪化、幕政は老中・阿部正弘に委ねられ、次代１４代・家茂は１２代将軍・家慶の実弟で、若年ながら将軍職を継承、公武合体策として和宮と結婚し、英明で勝海舟ら幕臣に慕われた。１５代将軍・慶喜は大政奉還、江戸城無血開城などを行なった激動の時代を生きた最後の将軍で、文久の改革と呼ばれる幕政改革を行うも王政復古の大号令により将軍職は廃止、慶喜は公爵に叙せられて穏やかな余生を送ったとされる。